質問
私は賃貸マンションのオーナーです。
賃貸借契約が期間満了で終了したので、賃借人にマンションを退去してもらうのですが、賃借人から、敷金を返還するまでは建物を明け渡さないと言われました。
賃料は月額8万円で、16万円の敷金の支払いを受けています。家賃滞納はないのですが、賃借人の過失による損傷が大きく、原状回復に20万円ほどかかりそうです。
回答
賃借人が、敷金と明渡を同時にしようというわけですから、賃借人の建物明渡義務と賃貸人の敷金返還義務は同時履行の関係にあるという主張になります。
この問題は、敷金返還義務の発生時期を、賃貸借契約終了時とするか、明渡時とするかによって、結論が変わります。
最高裁判所は、「賃貸借終了後、家屋明渡がなされた時において、それまでに生じた右の一切の被担保債権を控除しなお残額があることを条件として、その残額につき敷金返還請求権が発生するものと解すべき」として明渡時説に立ちました(最判昭和48年2月2日)。よって、建物明渡義務と敷金返還義務は同時履行の関係に立ちません。
建物を明渡さないと敷金返還義務が発生しませんから、敷金を返還しないと明渡さないという賃借人の主張は認められないでしょう。
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